任意整理の完済後に住宅ローンは組めるか

文責:所長 弁護士 鳥光翼

最終更新日:2024年06月04日

1 任意整理の完済後に住宅ローンを組めるか否か

 任意整理を行い、和解した内容に従って返済を続け、完済した後であれば、一定期間が経過すると住宅ローンを組める可能性があります。

 逆に言いますと、任意整理をしてしまうと、一定期間は住宅ローンを含め、貸金業者等からの金銭の借り入れは困難になると考えられます。

 これには、任意整理をした際の信用情報機関への登録情報が関係しています。

 以下、詳しく説明します。

2 任意整理をすると信用情報機関に事故情報が登録される

 任意整理を弁護士に依頼すると、まず弁護士から貸金業者等に対し、受任通知を送付します。

 貸金業者等は受任通知を受け取ると、加盟している信用情報機関に事故情報を登録します(いわゆるブラックリストに載るという状態。)。

 なお、主な信用情報機関としては、CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)が挙げられます。

 信用情報機関に事故情報が登録されると、少なくとも登録されている間は住宅ローンを組むことは困難になると考えられます。

3 事故情報が抹消されるまでの期間

 信用情報機関に登録された事故情報は、その信用情報機関が定めた一定期間が経過すると削除される運用になっております

 削除されるまでの期間は、信用情報機関の運営方針によって異なります。

 任意整理を行った場合には、最も遅い場合でも、通常は完済してから5年間で事故情報が削除されるとされています。

 事故情報が削除された後であれば、住宅ローンの借り入れができる可能性が高くなります。

 もっとも、貸金業者等は、住宅ローンの申し込みを受けた際、信用情報以外の情報も総合的に検討して、貸し付けを行うかを判断しますので、事故情報が削除されたからといっても必ず住宅ローンを組めるというわけではありません。

 例えば、住宅ローンを申し込んだ際の収入や勤務先、勤務年数等などの経済状況等の審査があります

 これらの条件もクリアできれば、任意整理をしても住宅ローンを組むことができるといえます。

 なお、任意整理の対象となった貸金業者等においては、自社内で事故情報を半永久的に保存している可能性がありますので、仮に信用情報から事故情報が抹消されたとしても、当該貸金業者等においては住宅ローンを組むことは困難になると考えられます。

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